【ゴルフ豆知識】ロフトのあるドライバーはなぜ曲がりにくいのか?
「ロフトが大きいドライバーはやさしい」と聞いたこと、ありますよね。
でも、なぜ“ロフトが大きい=曲がりにくい”のでしょう?
今回は、その理由を空気の流れや物理の観点から、わかりやすく解説します。
ロフト角とは?
ロフト角とは、フェース面が後ろに倒れている角度のことです。
ドライバーならおおよそ「9度〜13度」ほどの範囲にあります。
角度が大きいほど「高い弾道」になり、角度が小さいほど「低い弾道・飛距離重視」の設計です。
シニアゴルファーの平均ヘッドスピード(33〜37m/s前後)では、
10.5〜13度程度のロフトが、最もキャリー(飛距離)と安定性のバランスが取れるとされています。
(参考:TrackMan社データ/club speed 75mph-85mph Driver shot optimizer)
ロフトがあるとなぜ曲がりにくいの?
理由は大きく3つあります👇
1️⃣ バックスピンが増えて弾道が安定する
2️⃣ スピン軸の傾きが小さくなる
3️⃣ ギア効果の影響を受けにくくなる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
① スピン量が増えると飛びは安定する
バックスピンと空気の流れ
クラブのロフトが大きいほど、インパクトでボールに「バックスピン(後ろ回転)」がかかります。この回転によって、ボールの周りの空気の流れが変化します。
マグヌス効果(揚力)
回転するボールは、空気抵抗の違いから「上向きの力(揚力)」を受けます。
これをマグヌス効果といいます。
バックスピンが多いほどこの揚力が安定し、ボールは空中で姿勢を保ちながら飛んでいきます。

安定性の理由
スピンが少ないと、空気の流れが乱れてボールが“ブレやすく”なります。
つまり、スピン量が適正にあるほど、空中で安定してまっすぐ飛ぶのです。
まとめると
バックスピンは「安定した弾道を生む空気の羽」。
ロフトがあるほど、その“羽の回転”がしっかり働きます。
② ロフトが増えると、スピン軸の傾きを抑えられる
ボールの曲がり幅はスピン軸で決まる
ドローやスライスといった“曲がり”は、ボールのスピン軸(回転軸)の傾きで決まります。
スピン軸は飛行機の羽の様なイメージで、右に傾けばスライス、左に傾けばフックです。

ロフトがあるクラブはフェースの向きの影響を受けにくい
ロフトが少ないドライバー(9°など)は、フェースのわずかな開き・閉じでスピン軸が大きく傾きます。
一方、ロフトが大きいクラブはフェース向きの影響が分散されるため、
同じミスヒットでも曲がり幅が小さくなります。

まとめると
ロフトがあるほど、スピン軸の傾きを抑えられる=曲がりにくくなる。
つまり、「ミスしても真っすぐに近い弾道が出る」ということです。
③ ギア効果の影響が少なくなる
ドライバーは、ボールがフェースの芯を外れると“ギア効果”という現象が起きます。
フェースが回転して、ボールに逆方向の横回転がかかることで、スライスやフックが発生します。

ロフトがあるとどうなる?
- フェースの回転量が小さくなる
- 打ち出し角が縦方向に強くなり、横回転が減る
- フェース面全体で力が分散され、横ブレが起きにくい
つまり、芯を少し外しても方向性が安定するのがロフトのあるクラブの特徴です。
「高ロフトドライバー」はシニアの味方!
さて、ここまでで高ロフトドライバーのメリットは解ってきましたが、私たちは「シニアゴルフ研究所」なので、
一番気になるのは「シニアゴルファー」にとって高ロフトドライバーは選択肢となり得るかという点です。私たちの考えでは、高ロフトはシニアゴルファーにとって十分メリットとなり得ます。
なぜ高ロフトドライバーはシニアゴルファーにとってメリットが大きいのか?
加齢とともにヘッドスピードが落ちてくると、以下のような課題が出てきます:
- ボールが上がりにくくなる
- キャリーが出にくくなる
- ミスショット時のブレが大きくなる
ロフトのあるクラブはこれらの問題をカバーしてくれます。
- スイングスピードが遅くても、自然にボールが上がる
- キャリーが出しやすくなる
- ミスヒット時でも直進性が高く、大きなミスになりにくい
つまり、ロフトのあるクラブは、「シニアゴルファーが無理に力を入れなくても、やさしく飛ばして曲がりにくくしてくれる“味方”」となり得るのです。
まとめ:ロフトが増えると、やさしくなる!
ロフトがある=「上がりやすい」だけではありません。
ロフトがあるほど——
✅ スピンが増えて空中で安定
✅ スピン軸が立って曲がりにくい
✅ ギア効果が抑えられて方向性が安定
つまり、ロフトが増えるほどやさしい。
シニアゴルファーやドライバーショットが苦手な方ほど、少し大きめのロフトを選ぶのがおすすめです。
この記事が、あなたのゴルフライフを少しでも快適にするヒントになれば幸いです。
次回も、ゴルフがもっと楽しくなる情報をお届けします!



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